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ヒストリー

As who I am

アーキシップス古前建築設計事務所
古前 極さん

様々なプロフェッショナルと協力する中で、資格を横断した有用な情報を得ることができ、工事業者と密に連絡を取り合う仲で工法や資材の新しい知見を得ることもあり、建築士の資質の向上を実感します。

CM分離発注方式を導入したきっかけを教えてください。
・歴史的経緯

お城勤めだった祖先が侍を廃業して大工組を結成、「古前組」として橋や警察署ほかの公共建築、寺社仏閣、個人住宅などを設計施工していました。戦後に建築士制度が創設されて一級建築士事務所になり、設計と分離発注での施工を従前通りに続けていました。わたしも建築士として仕事を始め、企業や個人の依頼で住宅や企業のビル、工場などの設計と分離発注を続けてきました。振り返ると、家業として自然にCM分離発注方式を選択したようです。

ある時、友人から「近所にいい土地が見つかったので、故郷の木材を使って家を建てたい。敷地に石垣があるのだけど。」と相談され、材工を分離した住宅の設計を依頼されました。工事は地元の工務店で、との条件でしたが、木材産地と直接連絡を取り合い、材料を吟味した住宅はコストの割に質が高く、注文住宅におけるCM分離発注方式の可能性を感じました。

歴史的な経緯で材工の分離、工事業種の調整などは身についていましたが、それに対する制度的な保証が手薄なことに、不安を感じていました。工事と設計の責任分担や、事故の際の保証など、法的な理解も未熟でした。そんな時、友人からオープンシステム(株式会社イエヒトが提唱しているCM分離発注方式の一つ)の存在を聞き、説明資料や保険など制度面での充実に魅力を感じました。
 
CM分離発注を経験して良かったことを教えてください
・プロジェクトの統括

一般に建築士の仕事は、企画から竣工までのプロジェクトのうち、設計を担当します。用意された土地に、法令や予算、設定された目的のための建築計画やデザインを立案する仕事です。多くの条件を一つの建築に集約しながら整合を図り、現実に見積や工事ができるよう図面化、行政や保険などへの申請を代行し、工事に入れば図面取りに工事できているかを監理するまでが、一般的な契約業務です。

建築士としてCM分離発注方式に取り組む場合の醍醐味は、このような通常業務と異なり、プロジェクトの起点となり、発注者を竣工までサポートする立場で、プロジェクトの全過程を統括することです。一軒の家が建つまでには、用地の準備(解体、買収など)、法令の確認、役所との折衝、設計、工事見積、工事、登記、納税など、様々なフェーズがあります。企業のプロジェクトならクライアントサイドで専門家をチーム編成して、プロジェクトの遂行にあたるところを、建築士がCMR として担当します。

建築士の仕事、設計と監理を業務として行う以外に、見積説明や工事業者の選定業務、工事の連絡調整手段の確立や工程の調整などの業務も、発注者の委託により行います。プロジェクトの実現のために、用地の適性を判断し、金融機関に協力を呼びかけてクライアントの資金計画を補助し、不動産業者と通じて用地買収につなげて、時にはファイナンシャルプランナーや土地家屋調査士、司法書士などの専門職をチーム編成、指揮して、プロジェクトが実現できるよう尽力するケースもあります。様々なプロフェッショナルと協力する中で、資格を横断した有用な情報を得ることができ、工事業者と密に連絡を取り合う仲で工法や資材の新しい知見を得ることもあり、建築士の資質の向上を実感します。

設計だけでなく、建築プロジェクト全てを統括できる自信がつきました。
CM分離発注と一括発注を比較した物件があれば、どの程度のコスト縮減ができたか教えてください。
・工事コストを抑えられる
・工事コストの透明性が得られる


CM分離発注の目的として最初に挙げられるのが、工事コストの削減です。一つの業種での複数業者への相見積により、コストダウン効果が現れます。相見積した工事費を積み上げた総工事費は、一括発注の通常の工事よりコストダウン効果が明確に現れます。左下のグラフは、一つの設計物件でCM分離発注(オープンシステム)と一括発注の総工事費を比較した結果です。CM分離発注の総工事費が約3800万円だった物件ですが、一括発注では5000万円、6000万円があり、見積を取った中の最高金額は8000万円でした。

建売との比較もあります。
右下の写真は過去のCM分離発注物件で、最近、隣地が建売として売りに出されました。面積は当該CM分離発注物件より小さいけれど、販売価格は当該物件の設計+CM業務費を含む総額より500~600万円程度割高でした。
CM分離発注物件は注文住宅として、内装の仕上げ、オーダー家具やキッチン、太陽光発電や高気密高断熱など何もハイエンドな仕様で、発注者の満足度も高い物件です。CM分離発注のコストダウン効果が証明されたと感じます。

・設計や仕様など家づくり全般に、発注者の意向を反映しやすい
・発注者の判断でプロジェクトを形成できる
・発注者の得る心理的報酬が大きい


発注者は、ライフスタイルを反映した平面プラン、好みを優先した素材選定、オーダー家具やキッチン、太陽光発電や高気密高断熱の仕様など、勉強して悩みながら選択して作り上げた家を、生涯の作品として捉えて、完成度にもプロセスにも満足できるようです
CM分離発注を経験して苦労したことを教えてください。
業務量の多さ

現場への連絡や記録、検査、報告、報告内容の確認とフィードバックなど、通常の設計監理業務より、プロジェクトを円滑に進行するための事務管理業務が著しく多い。

工事業者の不足

基礎工事、駐車場やアプローチ、犬走りなどを一括で行う外構業者がいない。現場清掃やゲート、鍵、コンテナなど現場の保全をする専門業者が必要。
基礎工事中は基礎業者、木工事中は大工等、主要工程ごとに責任者を指名する等の対策が必要。

工事業者の業務意識や範囲の違い

・アルミサッシ取り付け時の防水テープ施工で、大工は左官の仕事、左官はラス屋の仕事など、職人個人の言い分が食い違うことがあった。
・見積に含む内容の違いが契約後に発覚した。工事内容に関して「それはうちでは別」が多発して、相見積で高かった方が結局は安かったことが、後でわかったことがあった。
・工事業者により当然視する業務内容や完成度の高さレベルが違い、金額で一律に比較する難しさを感じる。

建築士の知識不足 敷地造成や排水、外構

建築士は建物の構造など建築本体に関しては専門性は高いが、敷地造成、排水など、土木や外構に関する知識が薄いと実感する。それをカバーする知識をもった専門業と協力関係を築くことも必要。

工程立案のスキル不足

排水の悪い敷地での工事で、外構工事を最後に予定したら、建物内に出入りする工事業者の泥で著しく室内が汚れた。

工事業者の他工事への気遣いのなさ

ベランダ手すりの笠木、FRP防水、外壁巾木など、他工事で汚されやすい。

見積忘れ

ガードフェンスやゲート、廃棄物コンテナ用のシート、台風時の養生シート巻き上げなど、現場に入ってから気づく項目があった。

異業種間の隙間

・車上渡し資材の現場受け取り、保管管理、責任の所在。
・家具で造作キッチンを作る場合の施主発注食器洗い機の取付やインターネット配線、監視カメラ、塀の忍び返し、駐車場の車止めブロックなど、誰の工事が判断できないもので悩むことが多い。

相見積の限界

特殊な技術は相見積できない。
高度のな技術やデザインを要する細部が多いと相見積不可の業種が増え、発注先の選択肢が限定され、結果的にCMRが元請け化してしまう可能性がある。

CMRの業務範囲の曖昧さ
関係者全員のCMR業務範囲の理解不足


工事内容や手順に関して、建築士が工事業者に代わって説明することが多く、発注者・建築士・工事業者の三者全員が建築士を工事の元請けの最終責任者と勘違いすることが多い。
工事の質が原因で起こる問題を、建築士の責任と誤解する発注者と工事業者が多い。

発注者の距離感

発注者の依存度が高く、竣工後のメンテナンスまで工事業者や建築士の業務と勘違いされることがある。

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